新NISAでは投資信託への関心が高まっていますが、人気商品をそのまま選べばよいとは限りません。買う前に見るべき点を整理しておくと、失敗しにくくなります。

人気だから安心とは限らない

新NISAでよく名前が挙がる投資信託は、情報が多く比較しやすい反面、「みんなが買っているから大丈夫そう」と考えやすい面があります。ただ、売れていることと、自分に合っていることは同じではありません。直近の成績がよい商品でも、値動きの大きさや投資対象が自分の目的と合わなければ、保有を続けるのが難しくなることがあります。人気の有無は入口の情報としては役立ちますが、最終判断をそれだけに任せるのは避けたいところです。

まず確認したいのは「何に投資する商品か」

投資信託は名前が似ていても、中身はかなり異なります。全世界株式に幅広く投資するものもあれば、米国株に集中するもの、日本株中心のもの、債券を含むものもあります。新NISAで人気の商品ほど話題先行で見られやすいですが、まず大切なのは投資対象です。どの地域や資産に投資するのかを理解しないまま買うと、相場が動いた時に「こんなに下がると思わなかった」と感じやすくなります。

一つの地域に偏りすぎていないか

人気ファンドの中には、特定の国や市場に実質的に偏りやすいものもあります。成長期待が高い市場に集中するのは魅力的に見えますが、そのぶん値動きが大きくなることもあります。値上がり局面だけでなく、下落局面でも持ち続けられるかを考えておく必要があります。

コストは長く持つほど効いてくる

投資信託を選ぶうえで、手数料は見落としにくいポイントです。保有中に継続してかかる信託報酬は、長期になるほど差が積み重なりやすくなります。新NISAでは長く保有する前提で考える人が多いため、わずかな差でも無視しにくくなります。もちろん、コストだけで商品を選ぶのは単純すぎますが、内容が似ている商品同士なら確認しておきたい項目です。

「人気だから高くてもよい」と考えない

知名度の高い商品は安心感がありますが、その印象だけで選ぶと、必要以上にコストを負担することがあります。自分が何にお金を払っているのかを理解し、商品内容とコストのバランスを見たいところです。

つみたて投資枠と成長投資枠を混同しない

新NISAでは、同じ投資信託でも使える枠が異なることがあります。つみたて投資枠は、長期・積立・分散に適した一定の商品に限られます。一方で、成長投資枠は対象の幅が広く、選べる商品も増えます。ここを曖昧にしたまま選ぶと、「積み立てたい商品が思っていた枠で買えない」といった混乱が起きやすくなります。制度上どの枠で使う商品なのかは、最初に整理しておくほうがスムーズです。

分配金の見え方だけで判断しない

投資信託を選ぶとき、分配金が出るかどうかを重視する人もいます。ただ、分配金があること自体が有利とは限りません。特に資産形成を目的とする場合は、受け取ることよりも、再投資しながら資産を積み上げる考え方のほうが合う場面があります。見た目の受取額だけに引っ張られると、本来の目的からずれてしまうことがあります。

受け取り重視か、育てる重視かを分けて考える

今の生活費を補うための現金収入を重視するのか、将来に向けて資産を増やしたいのかで、向く商品は変わります。新NISAで投資信託を選ぶなら、いま必要なお金と将来のためのお金を混同しないことが大切です。

直近の成績だけを見ると判断を誤りやすい

ランキングや比較記事では、過去1年や数年の成績が目立ちます。ただ、成績がよかった時期だけを見て選ぶと、その後の値動きに耐えられないことがあります。過去の成績は参考情報にはなりますが、それだけで将来が決まるわけではありません。何に連動する商品なのか、値動きの幅はどうか、自分が何年持つ想定なのかとあわせて見ることが重要です。

似た商品を重ね買いしていないかも確認したい

人気商品を複数持つと分散できているように見えますが、実際には似たような銘柄を多く含んでいることがあります。異なる商品名でも、中身がかなり重なっていれば、思ったほど分散にはなりません。複数の投資信託を買うときほど、何が違い、どこが重なるのかを見ておきたいところです。

数を増やせば安心とは限らない

投資信託は増やしすぎると管理が複雑になり、方針もぶれやすくなります。人気商品を並べるより、目的に合う商品を整理して持つほうが、自分でも把握しやすくなります。

選ぶ前に確認したいポイント

新NISAで人気の投資信託を選ぶときは、「何に投資する商品か」「どの枠で使うか」「コストはどうか」「分配金の考え方は自分の目的に合うか」「似た商品を重ねていないか」を見ておきたいところです。人気は参考になりますが、それだけで安心はできません。制度を活かすためにも、名前の知名度や直近の成績だけで決めず、自分が長く持てるかどうかを基準に選ぶことが大切です。

出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

出典:投資信託協会「なるほど!投資信託説明書ガイド」